所在地 |
東京都文京区 |
主要用途 | 個人邸 |
延床面積 | 157.57m2(48坪) |
規模 | 地上2階 |
構造 |
鉄筋コンクリート造 |
1.大自然とのコミュニケーション
朝日、夕日などで変化する1日の時間の流れに始まり、新緑や紅葉などの季節の変化を感じる仕掛けを作り、都市の中にあっても大自然のリズムを感じながら暮らせる建築を目指しました。
具体的には街路の延長としてのエントランスアプローチから繋がる中庭を設け、ハナミズキやもみじ、金木犀などの四季の花や実のなる木を植えました。
ガラスの廊下を挟んで南側の中庭には、木製のデッキを敷きこみリビングの延長の生活空間としてのテラスを設け、中央にシンボルツリーとしての欅を植え、天然のサンシェードとして働かせると共に、生活の中に四季を演出させました。
また、室内では寝室に朝日が差し込むハイサイドライトを設け、リビングやキッチンに夕方のひとときだけ夕日が入る小窓を設ける等して朝・昼・晩の大自然の営みを時間毎の光のドラマで演出します。
2.町とのコミュニケーション
中庭型であってもコンクリートの要塞にではなく、内部から外の気配が感じられ、
また、街路からも住み手の暮らしをそこはかとなく感じさせ、ヒューマンな町並を構成する
1軒として町と住み手のコミュニケーションのある建築を目指しました。
具体的には、内外を木ルーバーで曖昧に繋ぎ、お互いの気配を感じられるよう配慮しています.また、中庭の緑も街に潤いを与えるよう、また室内が外部から丸見えにならない様計画しています。
3.家族とのコミュニケーション
ありがちな玄関・廊下を中心に家族の個室が外を向いて生活するプランではなく、中庭に向かって全室が向き合いお互いを感じられるプランとし、また、主寝室からリビング、子供部屋からダイニングを見通し、またリビングやダイニングから玄関や廊下の気配を感じるように計画しています。
特にリビングは大人の居場所であると共に子供のためのロフトスペースをもち、大人の接客空間でもあるリビングと幼い子供たちが自由に遊べる空間を一体化し、少しでも長く家族全員が過ごす時間をとれるよう配慮しています。
ハードとしての住宅
以上の“喜びずむ”の為の3つのコミュニケーションをテーマに設計致しましたが、喜びずむを実現するハードとしての建築のあり方についても考えました.
ローコスト住宅が流行っていますが、材料やディテールなど本当にこれで大丈夫なのかと思われるものが多く、実際ローコスト住宅の中には竣工後一年くらいで支障をきたしているものもあると聞きます.
経済的に余裕のある人達は、その一方、ヒノキ作りの家等の伝統的日本建築風や大理石張りの玄関を持つヨーロッパの邸宅もどきの、材料だけの高級感にこだわり必要以上のコストをかけている住宅もあります。
しかし、本当の意味でのローコストとは、初期投資を下げて寿命の短い建物を作る事ではなく、しっかりした材料をしっかりとした技術で納め、華美ではないが末永く愛着を持って暮らせる質実剛健な住宅を社会のストックとして作っていくことではないかと考えています.
そこで今回の住宅では、華美な材料は使わず、しかしフローリングはムク材を使用し、ビニ―ルクロスは用いず、内装は全て水性塗料による塗装、危ないディテールは用いずに防水の納まり,サッシュなど当たり前の確実な工法を用いています.
また、極力自然換気だけで快適に生活できるよう通風計画に配慮した結果、吹きぬけや大きなガラス面を採用しながらも夏場はでもほとんどエアコンを必要としない室内環境を実現しました。