our policy
当設計事務所の設計に対する取り組み、考え方などをご紹介します。
 

(1) 事務所方針
(2) デザインコンセプト“よろこびずむ”


  (1) 事務所方針 当事務所は以下の4項目によって業務を遂行致します。
一、志 デザインの為のデザインではなく、よろこびのあるライフスタイルの為のデザインを目指します。
二、技 現状に甘んずることなく、常にオリジナルの美しいデザインを目指します。
三、愛 デザインを通して家族愛・大自然への敬愛・生きる喜びを社会に広げたい。
四、義 顧客や社会に対し常に倫理的であり、正直であること。
  (2) デザイン
  コンセプト
“よろこびずむ”
機能的で美しいから良い建築か?
プロとして建築を設計するようになってから最初に悩んだ問題はデザイン優先か機能優先かという問題でした。「デザイン優先だから多少の不便は仕方ないよ」とか「利便性のためにはかっこ悪くなっても仕方ないね」と言う具合にデザインか機能かという議論もよくありましたが、結局、機能的でデザインも美しい建物がいいという当たり前の結論に達しました。実際、大手ゼネコン設計部や大手組織事務所などの世間一般で優秀だといわれる設計事務所は、機能的でかつ美しい作品を数多く生み出していました。私も大手ゼネコンの設計部で働いておりましたので当然、いい建築とは機能的で美しい建物のことだと思っていました。
しかし、機能とデザインという切り口だけでは名建築に触れたときに感じるあの強い感動を説明することは出来ません。そして、いい建築には機能とデザインだけでは語れない何かが必要ではないかと思うようになったのです。良い建築とはなんだろう。改めて考えてみると非常に難しい問題です。

幸せになるために建築はある
 良い建築を考えるにはまず、何のために建築を作るのかを考える必要がありました。色々と思考したあげく、建築は人間を幸福にする為のものなのだというシンプルな答えにたどり着きました。住宅やオフィスの空間がいくら美しくても、どんなに便利であってもそこに暮らす人間同士が憎みあっていては幸せにはなれないのです。
 では人間はどうしたら幸せになれるのでしょうか。これは、もっと難しい問いでした。
悩んだ末、私なりに導き出した答えは、「どんなに豊かでも一人ぼっちでは幸せとはいえない」というものでした。私にとっての幸せとは「自分と自分の周りの人間が互いに信頼し、愛し合っている」状態なのだと気づきました。給料がよくて望みどおりの仕事についていても上司と不仲では、会社生活は不幸なものになってしまいます。有名人になってファンが沢山できても奥さんと不仲ならその人は不幸せなのです。逆に無名で貧しくても夫婦で愛し合い助け合っている人、高くない給料で厳しい職場でも素晴らしい仲間がいればその人は幸せではないでしょうか。
よろこびずむ…
「よろこび・感動・出会い」を設計する
人が幸せになる建築なんて、本当に出来るのでしょうか。なんだかおとぎ話みたいだけど、このテーマにはライフワークとして取り組んで行こうと思いました。
そして、試行錯誤の末に、よろこび・感動・出会いという3つのキーワードを作りました。
 まず、よろこびと感動ですが、これは人間が暮らす空間には不可欠な要素だと思いました。なんとなく暗い気持ちになるような陰鬱な空間ではコミュニケーションも活性化しないでしょう。突然差し込む朝日のまぶしさや、夕日の美しさに感動したり、春いっせいに芽吹く木の新緑に元気付けられたりという「喜びの体験」を空間設計に盛り込みたいと思いました。「よろこびや感動」のない生活から良い人間関係は生まれないと思ったからです。一人一人が喜んで生きることが、良い人間関係を作るために必要なことだと考えたのです。
二番目に考えたのが、人と人が積極的に出会うようなコミュニケーションの場をつくっていこうと考えました。顔を合わせ、コミュニケーションの機会を多く作ることで「良いコミュニケーション」→「良い人間関係」を作れるのではないかと。
 そして、この形の無い「よろこび・感動・出会い」を建築にプログラムし、人を真に幸福にする建築を作ろうとはじめたのが「よろこびずむ」運動の始まりでした。

インテリジェントビルは本当にいい建物か?
 「よろこびずむ」をテーマに設計をするようになって最初にぶち当たった壁はオフィスの設計でした。その頃は、バブル全盛期で「24時間はたらけますか?」というスタミナドリンクのCMソングそのままに日本中がバブルで沸き返り、毎晩深夜まで猛烈に働くビジネスマンがもてはやされた時代でした。当然、事務所ビルも24時間働ける空間が要求されました。私自身も大手ゼネコンの設計部におり、インテリジェントビルと当時呼ばれた高層ビルのオフィスで毎晩深夜まで設計をしておりました。
インテリジェントビルとは24時間、一年365日常に快適に働けるように快適温度・湿度・快適な明るさなどをコンピュータで制御するハイテクビルのことです。私の勤めていた会社のビルも課やグループごとにセンサーで数値的に快適性を判断して空調をコントロールしたり、外光の明るさをセンサーで感知して自動的にブラインドを動かしたりするハイテクビルでした。そこでは、夏も冬も昼も夜も同じ一定の快適な環境の快適な筈でしたが、どういうわけか、自律神経失調や不眠症などに悩まされる社員が少なくなく、私自身も不眠になったこともありました。
 そんな自分自身の経験もあり、オフィスを設計するときには、当時流行のインテリジェントビルではなく、多少外光がまぶしかったりしても、季節やその日の天候や太陽の高さなどが感じられる空間を作りたいと思いましたが、私の考え方は上司にもクライアントにもなかなか理解していただけませんでした。当時、オフィスは知的な生産活動の為の工場であり、ワーカーは生産機械としか考えられていませんでした。その結果、壁や机は目が疲れないよう色彩対比の少ないグレートーンで塗られ、外光が入ると机面が明るさのコントロールが出来ないという理由で極力外光は排除されました。その結果、皆さんも良くご存知のきれいでスマートだけど無機質なハイテクインテリジェントビルが出来てしまいました。

太陽と空の下の葉山事務所
 そんなことがあってから何年かたち、私も念願の独立を果たし、自分の事務所を葉山に建設することが出来ました。自分のオフィスこそ「よろこびずむ」の考えを試すチャンスとばかり、あえて事務所空間設計のセオリーを無視して大きな開口部と吹き抜けを持つ明るい事務所になりました。朝のメールチェックは朝日の中ですし、夕方には赤く染まった夕暮れ雲にうっとりします。日が差すので晴れた日は真冬でも暑くなって窓を開けたり、反対に夜は薄暗いなかでの作業となります。日差しでパソコンの画面が見にくくなったり、セーターを着たり脱いだり、窓を開けたり閉めたりと忙しいのですが、一日の時間の流れを時計ではなく体で知ることができるようになりました。また、太陽の角度が日々変わっていくことで季節の移り変わりを実感することも出来、だんだんと五感が研ぎ澄まされていくようです。このように地球のリズムを体感して生活するようになり、不眠や寝汗などもなくなり、体調もすごく良くなりました。そしてなにより、毎日職場に行くのが本当に楽しくなったのです。

十人十色のよろこびずむ
 もちろん私のオフィスだけでなく、すべての作品でよろこびずむを提案してきました。
結果としてお客様によってまさに十人十色の様々なよろこびずむが出来ました。
 文京区の「よろこびずむの家」ではお風呂に入る2階の廊下はリビングの吹き抜けを通りますし、子供部屋とダイニング、ダイニングからリビングなど、色々な空間が干渉しあって、どこにいても家族の気配が感じられるように設計しています。また、中庭の植栽をどの部屋からも楽しめるようにして、都心でありながら四季を体で感じられる空間を実現しました。
 鎌倉の「波待庵」ではリビングルームそのものが大きな廊下でもあり、昔の大広間のような空間に子供も大人もそれぞれが暮らすような間取りとしました。
 また、「ルネサンスビル」は異業種が入り混じるテナントビルです。同居する異業種同士のコミュニケーションを図るために、中央階段を円形の吹き抜け空間として、トップライトからの太陽を楽しめる、コミュニケーションスペースとしています。
 中野の「スタジオのある家」では音楽スタジオを家の中心におくことで音楽を中心とした家族団欒を期待しました。現在、私は遊び方・暮らし方などのソフトも含めた“よろこびずむ”をテーマとして住む人、使う人が本当の意味で幸せになる空間づくりに取り組んでおります。
“よろこびずむ”にご賛同頂けましたら、今度はあなたの番です。
是非、ご一緒に“よろこびずむ”な空間を作ろうではありませんか。


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  当社の考えを記載してあります。
  是非ごらんください。

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